さる4月22日に慶応大学皮膚科と米国立衛生研究所(NIH)のグループが、「アトピー性皮膚炎の原因が皮膚表面の細菌の種類の偏りで起きることをマウス実験で解明した」と米科学誌「Immunity」に発表しました。
皮膚の常在菌のバランスが皮膚の健康にかかせないことは、何十年も前から専門家の間では周知の事実でしたが、なぜか皮膚科治療には反映されていませんでした。
医学会の権威、しかも今度こそ皮膚科が認めたことで、半世紀にも渡って原因不明とされ、自己免疫を抑制するステロイド剤が一辺倒だったアトピー皮膚炎の標準治療が見直されることを大いに期待しています。
ご存知の方は多いですが、私自身が自然医学を勉強するきっかけになったのが長年患ったアトピー性皮膚炎でした。
病気知らずで元気だけが取り柄だった私が、髪の生え際にできた湿疹にステロイド剤を処方されたのが発端で、その後、多くのアトピー患者同様、ステロイド剤依存に陥り、湿疹は全身に広がりました。ステロイド治療では治らないことを悟り、一念発起して大学の医学部準備教育からやり直し、自然医学を勉強しました。
自然医科大学での勉強はまさに目からウロコでした。
皮膚が肝臓、腎臓、肺に次ぐ第4の解毒器官であること。人間は地球環境に生息する動物や植物だけでなく、目に見えない微生物と共存していて、皮膚には1兆個ほどの様々な菌、カビなどの微生物が常在菌として生息していること。常在菌は善玉と悪玉が混在していて、善玉菌でさえも自己免疫が下がると悪玉に鞍替えして攻撃してくること。常在菌のバランスは自分の体が作る皮脂や汗が影響すること。皮膚のツヤは皮脂や汗を食べて生息する善玉皮膚ブドウ球菌が作っていること。洗いすぎが常在菌のバランスを崩すこと。ストレスが皮膚に不可欠なビタミンCを奪ってしまうことなどなど。。。
原因不明どころか、私のアトピーの原因は自分。自分の食と生活習慣が原因だったわけです。
皮膚を健康に保つために必要なのは、悪玉菌から皮膚を守ってくれる善玉菌を育てることです。そのためには健康な食事をして健康な皮脂を作り、健康な汗をかくことが肝心。農薬や化学物質まみれの食事をしていると皮膚からも毒素が排斥され、善玉菌が育ちません。砂糖を取りすぎるとアクネ菌や悪玉菌、カビが繁殖します。そこへストレス過多が重なれば自己免疫が下がり、悪玉菌だけでなく善玉菌までもが弱った皮膚を攻撃し皮膚疾患を引き起こすのです。
ステロイド剤で自己免疫を抑えるなど以ての外。今まで多くの研究文献が菌やカビを原因と指摘しているにもかかわらず、ステロイド剤の治療を見直そうとしなかった皮膚科学会の責任は重大です。
ステロイド剤で重度のアトピーへと進行し社会生活もままならなくなり、生きる希望を失って自殺した患者も多くいるのです。今も副作用に苦しむ多くの患者のためにも、皮膚科学会は真摯に反省し、うやむやにすることなく公に過ちを認めてほしいと切に思います。(夕焼け新聞5月号掲載記事より)
<お知らせ>
☆ワークショップ第②弾「痩せる!しかも体質改善〜デトックス・ダイエット」
日時:5月24日 日曜日 1:30-3:30pm
場所: Dr. チカコ・ハーパーのクリニック
問い合わせ先: くじら文庫 kujirabunko@gmail.comまで
千賀子・ハーパー(西脇)
自然医学(ナチュロパシー)を専門とするオレゴン州認定のファミリードクター。副作用をともなう製薬を極力さけ、身体にやさしい自然療法で心身ともに真の健康をめざす統合医療に取り組んでいます。糖尿病、心臓血管病、婦人病、神経痛、アトピー性皮膚炎、アレルギー、自律神経失調、ホルモンバランスなど、また定期検診、婦人科検診、栄養指導など、日本語でお気軽にご相談ください。各種健康保険の適応あり。
☆講演やワークショップ、執筆の依頼も承っております。
ブログ:http://drchikako.blogspot.com
フェイスブック: Dr. Chikako Harper
*6月1日をもってオフィス移転いたします。移転先は、こちら